神様の話でもしましょうか

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先ず最初に私が無宗教なことを断っておこう。べつに宗教的な話ではない。

 

先日、めめりも家に住んでいる女の子(30)と話しているうちに神様の話になった。

なぜその流れになったかと言うと彼女の中で「(めめりもさんが)体調が悪いのにそれを改善しようとまったくしない」「なんでそんなに自分を大切にしないかわからない」という思いがあるらしいことを聞き、いやそれは前々から聞いてはいたのだけど私は耳を貸さなかっただけだった。

 

彼女は小さい頃に弟を事故で亡くし、それがきっかけで彼女のお母さんは宗教にのめり込むことになる(なんの宗教かは私は知らない)。まだ小学生だった彼女はその宗教の集いに必然的に連れて行かれることになる。それは中学、高校の始めまで続く。

 

「人間、死ぬときはわかるんだよ」と彼女は突然言い始め、「弟も、死ぬのがわかっていたんだと思う。そうとしか思えないものを残していた」と言った。詳しいことは言わないので言いたくないのだろうと思い突っ込まなかったけれど、彼女は続ける。

「あのとき、あの場所に行っていなかったら弟は死ななかったんじゃないかって思ったことも何度もあるけれど、そうじゃないんだって。きっとあのとき何処へ行っても弟は死んでいたんだろうと思う。全部最初から決められてて、それに沿って生きているだけなんだって。」

 

それらしく語るけれどそれは酷く陳腐な話だ。それは果たして彼女や彼女のお母さんにとって救いになるのだろうか?

逆に、亡くなった弟くんの救いになるのだろうか?

私が何も言わなかったのは、当然それが彼女の救いになっているならそれを壊す必要はないからなのだけれど、彼女はだいたい基本的に弱すぎる。逃げているようにしか見えなくて、やきもきしたのが本音だ。でもまあそこはいつか向き合えるときが来るだろうと私は思うので、とりあえずは放っておく。

 

「神様が全部最初から決めてるんだよ」と言うから、「私の神様は私だよ」と答えたら「なにそれ!」と目を丸くするから私はおかしくなった。

最初は「そんなの違うよ」と言っていた彼女だけれどその台詞自体が宗教じみていると気づいたのか途中から「人それぞれだけどね」と呟き始める。

 

彼女の世界では神様はいるけれどひとりだけで、人間の生まれたときに運命を決めて、七日間で世界を作ったかどうかは知らなくて、人間は死んだら生まれ変わるそうだ。

(私は意地悪だから「ひとりで全員の運命を決めるの?大変だね」とか聞いた。彼女はいろんな神様のことを知らないのを知っていて聞いた。)

 

彼女のお母さんが昔のめり込んでいた宗教がどんなものか知らないので彼女の精神にどの程度の影響をもたらしているかは私にはわからないけれど、でもその考えはいまの彼女を支えているのだろうな。

 

「神様が決めたことだから私やママのせいではない。」

「弟も死にたくはなかっただろうけれど、死ぬことを認めていた。」

 

そう思うことで弟の死を飲み込んだんだろう。

 

最早最初の 「(めめりもさんが)体調が悪いのにそれを改善しようとまったくしない」「なんでそんなに自分を大切にしないかわからない」は何処へ行ったという感じだけれど、私が自分を祖末にすることと生きたくても死んでしまった弟のことを思ってぐちゃぐちゃになってしまったのだと思う。

 

うちの両親は宗教かどうか知らないけれど私が閉鎖病棟にぶち込まれたあたりから実家の数カ所にお札貼ったり盛り塩をするようになった。あれがなんなのか知らないけれどいまも継続されている。私は何も聞かないし両親も何も言わない。

 

人それぞれに縋るものはやっぱり必要なときがあるのだろうね、私の神様は私だから私に縋るしかない。

 

だから私を祖末に扱っているように見えても私は私を非常に大切にしているのだ。

かわいいかわいい私の神様。